【Jリーグ2025】通算出場数から見るJ1のGK ~バックアッパー専門GK~
2025年2月14日、早いもので今年もJリーグが開幕しました!
私(明日宮)は横浜F・マリノスのサポーターなのですが、贔屓目でなくとも今年のマリノスのGK陣は層が厚いと思っています。昨季のACL決勝進出の立役者ポープ・ウィリアム、長年マリノスのゴールマウスを守ってきた飯倉大樹、そして5シーズンぶりに帰ってきた朴一圭、下部組織出身かつ世代別代表の常連で大学4年生ながらプロ契約に至った逸材の木村凌也の4人体制は、誰がゴールマウスを守ってもおかしくない激しい競争です。そんな「今年のマリノスのGK陣はすごい!」を数値的に示してみたくて、私はJリーグ公式サイトの選手紹介から、2024シーズンまでの通算出場試合数を集計してみましたので、この記事でその結果を紹介します。
集計ルール
・【公式】Jリーグの選手名鑑:Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)に載っている情報を全てとする。
・2025年2月14日時点で背番号まで登録されている選手が対象。
・J1、J2、J3、カップ戦(ナビスコ/ルヴァン)の出場試合数をそれぞれ集計。天皇杯やACL、チャンピオンシップ、プレーオフの試合数は載ってないので含めない。
・キャリア年数もページに記載されているシーズンの数を集計。特別指定選手としての登録だったシーズンも含まれている。JFLや海外など、Jリーグ以外に所属した年数は含まれていない。
J1通算出場試合数 チームランキング
まずは各J1クラブのGKのJ1通算出場試合数の合計をランキング化しました。
1位は偉大なる西川周作が所属する浦和でした。
飯倉大樹などが所属するマリノスは2位、3位には東口順昭などが所属するガンバが続きました。ここで名前を出した3選手は、高卒・大卒の違いはあれど、全員同じ1986年度生まれなのが面白いところです。
このランキングで目を引くのは新潟です。J1復帰3年目にしてGK陣の大幅な入れ替えを行ったため、J1出場経験のある選手が誰もいないという状況になっています。
J1通算出場試合数 個人ランキング
上記のランキングに寄与している選手を確認するために、今年のJ1のGKのうちJ1通算出場試合数の上位20名+αを示します。
浦和の合計627試合のうち624試合が西川周作でした。圧倒的です。
2位のキムジンヒョンも、セレッソの416試合中414試合を占める突出っぷりでした。
20位以内に2選手がランクインしているクラブは、ガンバ、マリノス、町田、柏の4クラブです。この4クラブ間と当該選手で、
マリノス←(一森)→ガンバ→(谷)→町田←(守田)←柏
という移籍関係が成立しているのも面白いところです。
また、20位以内に誰も入らなかったクラブについてもそれぞれのJ1最多出場選手を示しました。
通算出場試合数 チームランキング
今度は、J2・J3・カップ戦を含めた通算出場試合数の合計を用いてランキング化してみました。これならJ3出場経験の豊富なパギさんのいるマリノスが1位になるでしょうか。
結論、1位は変わらず浦和でした。J1通算では3シーズン近くの差を付けられていたマリノスでしたが、浦和が約1シーズン差を付けて逃げ切りました。浦和でJ1以外の出場経験が豊富な選手とは一体? 答えは次項で語ります。
他に目を引くのは、順位がジャンプアップした名古屋と京都と新潟ですね。新潟はJ1出場経験選手は誰もいなくとも、J2・J3での出場経験が豊富な選手を補強したことがよくわかります。
通算出場試合数 個人ランキング
先ほどのランキングにはどんな選手が寄与していたでしょうか。今年のJ1のGKのうちJ1・J2・J3・カップ戦を合計した通算出場試合数の上位20名+αを示します。
キムジンヒョンがかなり出場試合数を伸ばしています。キムジンヒョン所属中にセレッソがJ2だったのは3シーズンですが、その頃のJ2はJ1より試合数が多いです。特にプロ1年目の2009シーズンは18クラブ3クール制の第51節まであるレギュレーションで、そのうち50試合に出場しています。
J1出場数0の圍謙太朗がランクインしているのも目を引きます。2024年途中に秋田から京都に移籍した圍は、J2・J3を渡り歩いて出場試合数を重ねてきた選手です。
通算出場試合数からJ1出場試合数を引いた数をランキング化してみました。圍の後には、大分・ヴェルディ・徳島で出場試合数を重ねた上福元、愛媛・山形で出場試合数を重ねて2024シーズン限りで引退表明したものの名古屋の怪我人事情により引退を撤回した児玉が続きます。圍も上福元も児玉も京都に所属経験があるという共通点があります。
西川の出場試合数が圧倒的な浦和において、J2・J3での出場経験が豊富な選手は、群馬・沼津・水戸で出場を重ねた牲川でした。
個別データ
以下に、集計対象となったJ1の全GKのデータを個別で紹介します。
・各項目の出場試合数については、100試合以上をピンク、200試合以上を赤で示しています。
・Jリーグキャリア年数は10シーズン以上を赤で示しています。
・平均は、合計出場数をキャリア年数で割った数字です。年平均20試合以上をピンク、30試合以上を赤で示しています。
一番右にの列には年間平均出場数を示してみました。年平均30試合を超える選手はほとんどのシーズンを正GKとして活躍しているスーパーなGKです。特に西川さん、パギさん、ジンヒョンさんの新人時代からずっとJリーガーの選手は、凄まじい存在だということがわかります。
チーム別に見てみると、圧倒的に経験豊富な守護神を筆頭とするチームが大半です。その中で控えにJ1出場経験豊富な選手を置いている町田(守田)、マリノス(飯倉)、ガンバ(東口)、永石と村上の2枚看板体制を数年間続けているがスタメンは小畑だった福岡は面白い存在だと思います。
本当はJ2J3のデータもまとめたかったのですが、力尽きたのでとりあえずJ1だけにします。J2J3はJ1とは選手キャリアの傾向が異なってくるのでそちらもまとめたら面白いとは思います。
バックアッパー専門のGKたち
先ほど年平均出場試合数のデータを紹介しましたが、その数値の少ないGKは能力が低いのかと言われればそうとも限りません。
GKに重要なのは何と言っても経験値、ではあるのですが、中にはほとんど公式戦に出場しないものの、クラブの信頼を勝ち取ってバックアッパー専門としてJ1クラブに長く所属する選手もいます。この記事では、Jリーグ歴10シーズン以上でありながら、年平均出場試合数が10以下と非常に少ないGKをピックアップして紹介したいと思います。
8シーズン公式戦出場無し 安藤駿介(川崎) 1.4試合/年
16年間のキャリアで出場数23、1.4試合/年という非常に少ない公式戦出場試合数でありながら、ルーキーからずっと川崎フロンターレに所属している稀有なGK、それが安藤駿介です。川崎には西部洋平、チョンソンリョン、新井章大、上福元直人、山口瑠伊といったスタメンクラスのGKがずっと2名以上いる中、ずっとバックアッパーを担ってきました。
2012年ロンドンオリンピック本戦の日本代表のメンバーにも選ばれており(スタメンは権田)、その翌年の2013年にはキャリア唯一1年だけ期限付き移籍で川崎を離れて、湘南でJ1 10試合出場の経験を積みます。これらの経験が強化部の信頼を得られたのだと思います。
この記事を書いていていざ投稿しようと思っていた2025年2月18日、安藤駿介はなんとACL Eでスタメンに抜擢されました。3191日ぶり、実に9年ぶりの公式戦出場で、チームの完封勝利に貢献しました。この記事の集計上、ACLと天皇杯の実績はカウント外になっているのですが、それらを含めても9年ぶりの公式戦で、本人が試合後のインタビューで感極まっていた姿には涙を誘われます。
ムードメーカー・気配り上手 川浪吾郎(広島) 3.0試合/年
インタビュー記事で「ムードメーカー」や「気配り上手」などと紹介される川浪吾郎は、15年のキャリアで45試合出場、年平均出場試合数が3.0のGKです。
新潟で守田の控えGKを3年間務め、次に移籍した仙台でシュミットやスウォビィクの控えを3年間務めて評価を上げ、現在は広島で大迫のバックアッパーで4シーズン目となります。U-19までは世代別代表の常連代表だったようです。
遅咲き派GK 太田岳志(京都) 4.3試合/年
2025年の京都の開幕スタメンGKで、近年はクソンユンと正GKのポジション争いをしている印象の強い太田ですが、12年のキャリアで51試合出場と、実は年平均では4.3試合の少ない出場試合数となっています。
リーグ戦に出場する機会を得られるようになったのは2023年からの話で、2022年までの10年のキャリアに限定すると通算出場試合数28で2.8/年という少なさになります。前述のバックアッパー型GKと違うのは、2021年まではJ2・J3のクラブにしか所属経験がないという点です。所属している京都が2022年にJ1昇格したことで初めてJ1の選手となり、そこから30代にして初めて、しかもJ2・J3時代もできていなかったにも関わらずJ1で正GK争いをできる位置までのし上がったのは、非常によく耐え凌ぎ、好機を逃さなかったなと思います。
GK大国名古屋
名古屋グランパス(エイト)はご存知の通り、1999年から2018年まで楢崎正剛、2018年から2014年までミッチェル・ランゲラックという偉大なるGKが君臨し続けていました。
その中で、2010年から2015年までの6シーズンで自身は200試合近くの経験があるにも関わらず楢崎さんのバックアッパーというキャリアを選んだ高木義成さんをはじめとして、名古屋は数多くのバックアッパータイプのGKを保有していたので、ここで連続して紹介します。
最強の控えGK 武田洋平(名古屋) 7.2試合/年
第2GKとして最高の選手が誰かと問われたら、私は武田洋平を思い浮かべます。19シーズンのキャリアで136試合の出場。2年間大分で正GKを務めた後、2016年に前述の高木義成さんと入れ替わりで名古屋に加入して以来、サポーターからの信頼も厚い不動の第2GKです。ルヴァン杯での出場経験は通算29試合とかなり豊富です。
個人的には2006年の高校サッカーで大津高校の正GKとして三ツ沢でプレイしていた姿を生で見てから印象深い選手でして、マリノス戦でもランゲラックの負傷交代や欠場で頻繁に出てきて、ランゲラックよりも武田洋平相手にゴールを奪えていない印象があります。
2025シーズンはシュミットダニエルの怪我もあり、自身初のJ1開幕スタメンだったそうです。
2019マリノス優勝の貢献者の1人 杉本大地(名古屋) 3.4試合/年
リオデジャネイロオリンピックバックアッパーメンバーという実力者として2017年にマリノスに加入した杉本大地。カップ戦で結果を出せず、ポステコグルー監督の信頼は得られていなかったのですが、優勝争いになんとか食らい付いていた2019年後半のパギさん負傷離脱という大ピンチの期間に4試合に出場して連勝に貢献し、マリノスの15シーズンぶりの優勝に貢献した4人のGK(飯倉・パギ・中林・杉本)の1人となりました。特に瑞穂でのアウェイ名古屋戦では、前田直輝の決定的なヘディングシュートを長い腕ではじき出しており、あのシュートは身長の関係でパギさんでは止められなかったと私は思っています。
マリノスとは2019シーズン限りで契約満了となり、その後磐田と仙台に所属し、15年のキャリアで51試合出場の年平均3.4試合は、かなり少ない数字となっていますが、前述の経験が評価されたのか、今はJ1に再び舞い戻り、名古屋でバックアッパーを務めています。
杉本の前の名古屋の第3GK 渋谷飛翔(横浜FC) 5.1試合/年
近年は甲府で2桁の出場機会を得て、2025年より古巣の横浜FCに復帰した渋谷ですが、2017年から杉本が加入する前年の2022年まで、楢崎orランゲラックと武田に次ぐ第3GKのポジションを6年間務めていました。12年のキャリアで通算出場試合数は61で、名古屋では2019年以降4年間公式戦出場はなかったようです。
現役引退撤回 児玉剛(名古屋) 11.7試合/年
17年のキャリアで199試合出場、年平均11.7試合と、ここで紹介するにはちょっと経験豊富めの選手ですが、その加入経緯はまさに「バックアッパー」なのでここで紹介します。
愛媛や山形で5年近く正GKを務めた後、FC東京に移籍し、林彰洋やスウォビィク、波多野や野澤のバックアッパーとして6シーズンを過ごし、2024シーズンで契約満了となります。
2025年1月12日に現役引退を発表しますが、GKに怪我人が続出した名古屋の練習に参加し、2月11日に現役復帰して名古屋に加入することが発表されました。名古屋にとってはまさにバックアッパーとしての獲得ですね。
以上、この記事では、J1クラブのうち、出場経験の豊富なGKを保有するクラブ、そして出場経験は少ないながらも価値の高いGKを紹介してきました。
プロサッカー選手は厳しい世界で、フィールドプレーヤーなら練習で監督の信頼を得て出題機会を得られなければどんどん下のカテゴリに降りていかなければ選手を続けられない世界ですが、1チーム1人しか出場できないゴールキーパーに限っては、出場機会が少なくとも一定の評価されればカテゴリを落とさずにプレーを続けられるという特殊なポジションです。ただそこには、他の選手の移籍やケガと言った要素も影響し、自分の努力だけではどうにもならない運命の巡り合わせが関わってきていますよね。
話が変わりすぎて忘れかけていた前半部分まとめですが、今シーズンのJ1で、所属GKの通算出場試合数合計の最多は、西川と牲川の所属する浦和レッズで、飯倉さん、パギさん、ポープの所属するマリノスは2位でした。
今年のJリーグではどのGKが活躍するでしょうか。とても楽しみです!
